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「2022年問題」住宅用地の一挙放出で空き家急増も

2015年春あたりからアパート空室率が異常な伸び

 不動産評価サイトを運営するタス(東京・中央区)の賃貸住宅市場レポート(2017年1月版)
によると、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)のアパート系(木造、軽量鉄骨)空室率ポイ
ントは、2015年春あたりから異常な伸びを示しています(図表1)。

 2015年に相続増税が行われたことを受け、一定規模の土地にアパートなどの住宅を建てれば
土地の評価額が大きく減額するため、節税対策としてアパート建設が行われた結果です。

 こうした事態を受け、金融庁や日銀は急増するアパートローンに対し監視を強める姿勢ですが
今のところその効果は出ていません。

 実際の需給とは関係なく、節税対策のために新築アパートが建設されると、周辺地域の空き家
が増え、賃料水準が下がるといったデフレ効果を生じます。そして不動産価格はもちろん下落し
ます。

 でははたして、こうした中で不動産を購入してもよいのでしょうか。答えは「条件付きでOK」
です。先に述べたように日本の不動産は大きく三極化するという流れを読み取り、価値の落ちない
、あるいは落ちづらい不動産を選択すればよいのです。こうした立地は東京都心部だけではなく、
都市郊外部にも、地方にも見つけることができます。

2022年には生産緑地制度の期限が到来

 「2022年問題」をご存じでしょうか?

 全国の市街地には96万戸、東京都には26万戸分もの住宅用地が眠っており、これらの多くが東京
オリンピック後の2022年、一斉に市場放出される可能性があります。その土地に新築マンションや
一戸建てが建設されれば、すでに全国で820万戸ある空き家が大幅に増大する可能性が高くなってい
ます。これを住宅市場の「2022年問題」と呼びます。

 1974年公布の生産緑地法では、市街化区域内の農地の宅地化を促す目的で、大都市圏の一部自治
体で、農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊農地の大半が宅地化されることになり
ました。当時の住宅不足解消が目的でした。

 一方で1992年の同法改正では、一部自治体が指定した土地については、固定資産税が農地並みに
軽減され、相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されました。この場合、生産緑
地の所有者は建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められました。生産緑
地は原則として住宅が建設できる市街化区域内にあります。

 生産緑地制度が適用されたのは、東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市、その他
整備法に規定する一部地域など。「2013年都市計画現況調査」(国土交通省)によれば、2013年3
月時点の生産緑地は全国で1万3859ヘクタール(約4192万坪)、東京都に3388ヘクタール(1024万
坪)、23区内には451ヘクタール(136万坪)存在します。

 同法の適用は1992年で、期限は30年後の2022年です。この期限を迎えたとき、または所有者が病
気などで農業に従事できなくなったり、死亡したりした場合、所有者は市区町村の農業委員会に土地
の買い取り申請を行うことができます。

 しかし、市区町村が買い取らなかったり、生産緑地として買う人がいない場合には、この生産緑地
指定は解除されます。これまでの実績では、予算不足などの理由から自治体による買い取りの実績は
ほとんどありません。

 そうなると固定資産税が跳ね上がるため、所有者は土地を維持できず、売りに出すしかなくなりま
す。こうしたまとまった土地を仕入れるメインプレイヤーは、建売住宅建設業者、立地が良ければマ
ンションデベロッパーになります。最も可能性が高いのは、固定資産税や相続税評価額が下がる思惑
から、賃貸住宅の建設が進むことです。事実、多くのアパート建設会社は、2022年の生産緑地指定解
除を絶好の商機として狙っています。

 前出の都市計画現況調査によると、過去5年間で生産緑地の減少は約595ヘクタール(約180万坪)
マイナス4.11%程度です。高齢の所有者が多いため、今後5年間で減少はさらに加速しそうです。
仮に8%程度の減少にとどまったとすると、2022年時点で、1万2750ヘクタール(3856万坪)、10%減
としても1万2473ヘクタール(3770万坪)は残っており、これらの大半が一気に市場放出される可能性
があります。

 2022年以降、これらの土地に新築一戸建てが建設されるとします。土地開発の際には道路用地などに
とられ、宅地としての有効面積は75%程度になります。ここに敷地面積30坪の新築一戸建てを建設する
場合、全国の生産緑地には約96万戸、東京都に約26万戸、23区内には3万戸分の戸建てを建設することが
できます。マンションやアパートであれば、建設戸数は飛躍的に増大します(2022年までの生産緑地減
少率8%の場合)。

 2003年、埼玉県羽生市が人口増大を目論んで、原則として住宅を建てられない「市街化調整区域」の
農地に、住宅を建設できるよう条例を定めた結果、市街地からほど遠い立地に新築アパートが乱立しま
した。その結果、おびただしい数の空き家がうまれ、将来のインフラ維持費という形の負債を残すこと
になりました。

 大量の生産緑地が放出される可能性が高い2022年までに対応が遅れた自治体は、羽生市のように新築
住宅建設ラッシュに見舞われることが懸念されます。東京・練馬区は生産緑地の解除を望む地主に対し
特別養護老人ホーム用に、社会福祉法人などへ土地を貸し出すことを提案しています。

 政府は2016年5月、都市農地の保全を強力に推進する方針を示していますが、どうなるかは全く不透明
です。資産価値の面からも、物件検討の際は周辺の土地の活用状況や自治体の都市計画をよく把握してお
く必要があります。                            「日経BIZ」

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