路線価、6年ぶり下落 コロナ禍で観光地や商業地の下落顕著

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の路線価(1月1日時点)を公表した。
全国の平均変動率は前年比マイナス0・5%で、6年ぶりに下落した。新型コロナウイルスによる
インバウンド(訪日外国人客)需要の消失や、飲食店への営業自粛・営業時間短縮要請の影響で
観光地と商業地で下落傾向が顕著に表れた。

 都道府県別では、39都府県が前年から下落した。東京(マイナス1・1%)と大阪(同0・9%)
は8年ぶり、愛知(同1・1%)は9年ぶりに下落し、株高の影響で地価が安定していた大都市圏も
下落した。上昇したのは、福岡(プラス1・8%)、宮城(同1・4%)、北海道(同1・0%)など
7道県で、昨年(21都道府県)の3分の1にとどまった。

 都道府県庁所在地の最高路線価の下落率(前年比)は、奈良市が最大でマイナス12・5%。神戸
市同9・7%、大阪市同8・5%、盛岡市同8・0%、東京都中央区同7・0%と続き、22都市で下落した。
横ばいは17都市。上昇したのは8都市で、上位は仙台市プラス3・8%、千葉市同3・5%、宇都宮市
同3・4%の順だった。

 全国に524ある税務署別の最高路線価では、下落率が最も大きかったのは、大阪市の繁華街・ミ
ナミの中心部に位置する中央区心斎橋筋2(心斎橋筋)のマイナス26・4%。外国人観光客の多い
飛驒高山の岐阜県高山市上三之町(上三之町下三之町線通り)の同12・7%、奈良公園に近い奈良
市東向中町(大宮通り)の同12・5%と続いた。上位10地点のうち5地点が大阪府内だった。

 東京は浅草寺に近い台東区浅草1(雷門通り)が昨年のプラス33・9%から下落に転じ、マイナ
ス11・9%と最も下落した。東京・銀座の文具店「鳩居堂」前は1平方メートル当たりの価格が
4272万円と36年連続で日本一だったが、前年比は同7・0%だった。  昨年プラス50・0%と6年
連続で全国トップの上昇率だったスキーリゾート地の北海道・ニセコは、コロナの先行き不透明
感から不動産取引の停滞もあり、0・0%で横ばいに。昨年プラス40・8%だった那覇市の国際通
りはマイナス1・4%と下落に転じた。                  「毎日新聞」